東京都台東区「上野」。かつて、上野駅から御徒町方面に渡り、数々のパチ屋が競合した“パチンコの聖地”であった。また、昭和通り（国道4号）を挟んで東側にある「東上野」にはメーカーやショールームが密集しており、通称“パチンコ上野村”と呼ばれているが、こちらも徐々に様変わりしつつある…。今回は、そんな都内でも屈指のパチンコ競合地域だったこの地にスポットをあて、レポートしていきたいと思う。

百万弗、モナコ、オスカー、スターホール、スター会館、東京会館、ニューセブン、夢広場デルンダー、アクア、トレジャーハンティング、サイバースパーク、オリエンタルパサージュ、そしてダイヤモンド…。かつて、上野・御徒町界隈に存在した、今はなきパチ屋の数々である。最盛期の2000年代初頭には、大小あわせて20店舗以上のホールが存在していたと思う。

個人的には、この頃までの殺伐とした上野の雰囲気がたまらなく好きだった。パチマガ編集部に入りたての頃、新機種のデータ取りで赴くのはいつも上野だった。打ち終わった後のお決まりの飲みのコースも上野界隈だったし、いわば若者の欲望をすべて満たしてくれるのが“聖地”上野だったのよ。

もちろん現在でも上野ではPIAや日拓エスパス、楽園が営業しているから、パチンコを打つには困らないだろう。しかし、かつてのように数々のパチ屋が密集していた頃に比べると、やはり魅力が半減してしまったのは否めない。そんな思い出のホールの中でも、特に昨年8月いっぱいで閉店した「上野ダイヤモンド」は忘れられないパチ屋の一つだった。

上野ダイヤモンドはJR御徒町駅からすぐの場所にあり、かつての密集地域からはポツンと離れているところにある感じだった。細い路地を一本入ったところ、有名な中華料理店「珍満」の隣にあった。個人的には、東上野のメーカーやショールームで新機種の発表会・展示会があるたびに、帰りに寄ったパチ屋がココだった。

特に通っていた時期はと言えば、まずはSANKYOの3回権利モノ『マーメイドSP』（※4分割デジタルのうち3つ以上に7or魚が停止で大当り。出玉約6000個）が設置されていた頃。当時、地元では設置がなかったため、物珍しさもあってデータ取り帰りに寄ってはよく打ったものだ。これは1990年代後半～2000年代初期の話。

その後は2015～19年あたりの、西陣の『CRA蘇りぱちんこ～春夏秋冬～GL』（※往年の名機『春夏秋冬』『春一番』『ファンキー7』『ハニーフラッシュ』の4機種を1台で楽しめた。甘デジなんだが、出玉約1100個の16Rをいっぱい引けた思い出あり）が設置されていた頃。自分にとっての“神台”なんだが、まさか2台も設置していて、いつ行っても選びたい放題だったので…。今思えばこの頃までの長きに渡り、自分にとってはまさに最高の優良店だった。パチンカーにありがちと思われるかもしれないが、トータルすればこの店で勝ってもいた。他にも、特に甘デジコーナーやハネモノコーナーに香ばしい機種が揃っていて、黄昏るのにはもってこいの店だったと思う。

そんな“優良店”も、時代の波とコロナにはかなわなかったのかもしれない。昨年は5月にオリエンタルパサージュインペリアル上野本館が閉店し、代わりに楽園が参入したが、上野のパチ屋は今やエスパスの本館・新館とPIA、楽園の4店舗のみ…。いやはや寂しい限りである。今もなお、あの路地裏の店は忘れられないね。＜つづく＞