※過去の「栄光なき名機たち」記事

チワッスあしのです！

パチスロ界に燦然と輝く名機たちの傍らでひっそりと咲く佳作をご紹介するこちらの企画、今回は2013年にオリンピアが放った『パチスロラブ嬢』について語りましょう。

かの機種が出たのはまさしく5号機の最盛期と言っても過言じゃない年でした。

エレコの『ミリオンゴッド-神々の系譜-ZEUS ver.』を皮切りにサミーからは『パチスロ攻殻機動隊S.A.C』『パチスロ北斗の拳 転生の章』『パチスロ化物語』、大都技研からは『忍魂弐～烈火ノ章～』『秘宝伝　太陽を求める者たち』、エンターライズから『バイオハザード5』、更にメーシーからは『鬼ノ城』および『SLOT魔法少女まどかマギカ』もリリースされるなど、5号機を代表するような名機が続々と登場し、そのどれもがかなり長期に渡って人気を博す事になったのはご存知の通り。

打つ側にとっては嬉しい悲鳴が止まらなかった年であると同時に、ホールさんからするとどれを何台入れりゃいいんだよ的な意味で苦悶の一年だったみたいな話を聞いたことがあります。

蓋を開けてみればこの年リリースの中でも特に『転生』と『まどマギ』は5号機全体を通してもかなり上位の人気を誇る機種になったんですが、『転生』はおいとくとしても『まどマギ』のヒットを予見して初回に大量導入した店舗というのはかなり少なく、のちを見越してボックス単位で入れた店長（機種担当者）さんは、よっぽど優秀な人か、あるいはなんか知りませんが未来予知系のスタンド能力者なんでしょう。

と、そんな感じで大激戦の2013年、『パチスロラブ嬢』がリリースされたのもこの年の10月でした。

この機種は差枚管理の「LOVE RUSH」で出玉を増やす、純増約2.7枚のAT機でありました。

この頃に出たヒット機種は大体全部そうなんですが、出玉区間としてのリアルボーナスは非搭載です。

ATは差枚上乗せの他に、連続演出である「アフターデートチャンス」を経由した特化ゾーン「ごほうびRUSH」、さらに押し順制御でレア役確率が大幅にアップする「おねだりチャンス」を経由した擬似ボーナス「VIP BONUS」なども搭載。

さらに各状態には上位モードである「BAZOOKA（バズーカ）」が実装されており、どういう状況であれそれにブチ込めばムチャクチャ乗せるぜ、みたいな一発逆転要素もふんだんにあり。

このへんは同じオリンピアさんの『麻雀物語2』における「天運招来」をそのまま持ってきた感じではありますが、そんな素敵ギミックもバッチリ採用されていました。

で、この機種に関しては正直ゲーム性もなかなか尖っていますが、それよりもコンセプト自体がブチ尖っておりまして、どういうことかというとこれ「キャバクラ」をテーマにしてたんですな。

通常時はそうでもないんですけども、ATに入るとキャバ感がかなり上手いこと表されており、ゲームフロー的にも女の子とキャッキャウフフしながらアフターデートを狙い、告白成功してご褒美を狙う、みたいな流れ。

たまにはっちゃけると「キャバク乱舞」っつってボーイさんがぶっ壊れるんですけども、それはまあファンタジーだとしても、おおまかな部分ではリアルなキャバクラ遊びの流れをだいたい踏襲しており、よくもまあボタン3つとレバーいっこでこのへんを表現したなァと、制作陣の作家性が良い部分で輝いている作品でありました。

出てくるキャストもモデルさんや女優さん、グラビアアイドルさんが実写で起用されており、そしてその出演者のチョイスがマジで絶妙なのもグッジョブですし、さらに地方の方言を喋る嬢がいい感じで配置されているのも実にリアルです。

だいたいどのキャバにも博多弁を操る子は一人くらいいますもんね。

んでこれ、キャストの名刺が出てくる演出があるんですけども、これもまあホントに良くできており、ああもうキャバ嬢って大体こういう名刺だしこういうメアドだよね、みたいな部分から、使われてるBGMも高田馬場あたりのちょい安めのキャバで実際に流れてても全然違和感がないヤツだったりして、世界観の作り込みが超ハイレベルでありました。

通常時の演出なんかはかなりサラっとしてて薄味なんですけども、それがまたAT中のキャバ感を盛り上げる助走として機能していますし、一発芸に近いノリながらも、コンセプトにシステムを寄せて完成度を高めたらこういう感じになりました、みたいなのが非常に良くできた印象です。

実写モノというのは二次元に比べ「打つ人を選ぶ」というのは絶対あると思うんですけども、この機種に関してはアニメ絵だとここまで魅力的にはならなかったと思います。

これマジで作り方が上手いよなぁ…ついつい着座して一回だけでもAT入れてましたもんね。

大体上乗せナシで終わるんでトータルではめっちゃ負けてますけども、それもまたキャバ感あり。

すげえ台でした。