パチンコ・パチスロのメイン基板、サブ基板って何？

現役開発者、チャンスメイト荒井氏による「パチンコ開発とXXの事情」。過去の記事はコチラからどうぞ。

パチンコやパチスロの演出の振り分けや抽選に関して、疑問に思ったりすることはないでしょうか？　例えば、同じ演出が連続して出現したり、激熱の演出が立て続けに出たりすると「波が良い」といったりする人もいる一方で、仕様等に詳しい玄人のユーザーは「そんなのはオカルトだ」という人もいたりすると思います。本日は、そんなパチンコやパチスロの抽選のしくみについてお話します。

大当りを抽選するのがメイン基板！サブ基板の役割は？

パチンコやパチスロの抽選はルーレットだ！　みたいな話を聞いたことはあるでしょうか。例えば、確率が1/300の台であれば、ルーレットのマスが300個あって、その中の1つだけが大当りでその他は全てハズレ、毎回、ルーレットのように抽選を行うみたいな話です。これはパチンコやパチスロの抽選に関して、非常にわかりやすく表現した内容となっているのでよく使われますが、本日は更に突っ込んで話をしていきたいと思います。

そもそも、パチンコやパチスロの大当りや演出等の抽選と呼ばれるものは、基本的には「メイン基板」と「サブ基板」の２つによって行われます。それぞれの特徴は以下の通りです。

・メイン基板　主に大当りを抽選する基板

・サブ基板　主に演出（音やランプ等）全般を抽選する基板

その他、演出基板等のサブ基板の補助を行うものがあったりします。

結論から言ってしまうと、大当り抽選をする基板と演出を抽選する基板は別々に存在しており、パチンコの規則的に、メイン基板の情報をサブ基板に送ることはできます（※）が、サブ基板の情報をメイン基板に送ることはNGとなっています。そのため、メインは完全に独立して抽選を行っており、外部の干渉を受けることは一切ありませんので、どのような演出が連続したとか連続して出てない静かな状態だからといって、大当りが近いとか近くないとかは一切関係ないのです（※パチンコの保留先読み予告やパチスロの前兆は「メイン基板の抽選を受けてサブ基板で発生させている演出」なので、これに該当）。

何か不正な改造等をされていればわかりませんが（笑）、今の時代それらの不正改造機等はほぼほぼ根絶されていますので、ホールでそのような台を見かけるということは0に等しいでしょう。

出玉に関わらないハズのサブ基板が爆裂AT機を産んだ？

これは余談になりますが、昔々のパチンコやパチスロは大当り抽選や演出等に関する制御を全てメイン基板1つだけで完結しなければならなかったのです。そのため、昔の台は演出がほとんどない非常にシンプルな台が多かったんですね。メイン基板はROM容量も規則にて非常に厳しく制限されており、それを守って機械開発を行うと演出等はあまり沢山実装することができなかったというわけです。そのため、「出玉に一切関わらせなくするので基板を追加させてください」という陳情の結果、サブ基板の搭載が後から認められたという背景があります。

そして、その出玉に関わらないという合意の元に認められたサブ基板を使って、パチスロでは押し順ナビによって出玉を増加させるAT機を開発したわけです。このAT機というのが非常に曲者で、当時の保通協の出玉試験は押し順ナビというのものを想定していなかったので、基本的には全て順押しにて試験が行われていました。そうです、順押しでは出玉は殆ど出ませんが、押し順ナビに沿った押し方をすることで爆発的に出玉性能をアップさせたわけです。当初の目的からは外れた使い方であり、そもそも出玉に一切関わらせないからと認められたにも関わらず、そのような使い方をした結果、当然ながら規制の対象になったのは、古くからパチスロを打つ人なら知っている有名なお話です（創意工夫といえばそうですが、だまし討ちするようなやり方は賛否両論ありますね。それがきっかけで大きく規制されることもありますので…）.