はじめに
虚心坦懐のGoing Underground、第106回。
現在ではパチンコの営業形態は高換金率のホールが大半で、無制限、台移動自由が当たり前となっています。しかし、今から30年近く昔は等価交換も希だった上、無制限ではなく、多くのホールがラッキーナンバー制を採用していて、特定図柄の大当り以外は1回交換が普通でした。当然、1回交換を採用しているので持ち玉での台移動も禁止されていたのです。そんな厳しい縛りの中でも、プロはしっかり結果を出していました。むしろ、現代より勝ちやすかったのです。
今回は、そんな一時代のルールであった「ラッキーナンバー制」についてお話していきたいと思います。
「ラッキーナンバー制」営業とは!?
パチンコでの初当り時、大当り図柄や大当りした際のサイドランプの表示によって、1回交換になったり、次回までの持ち玉遊技になったり、無制限になったりする営業方法。
当時は現在とは異なり、多くのホールが換金ギャップを前提として利益を上げていた。換金率で多かったのは、関東だと2.5円交換といった具合で、2400個の出玉で換金すると6000円程度であった。その分、釘状況は、今とは比べものにならないくらい良かった。
そのため、プロにとったら「無制限」の札は喉から手が出るほど欲しいお宝札だったのである。
「ラッキーナンバー制」の具体的な営業スタイル
虚心の地域で多く利用されていた「ラッキーナンバー制」は、大当り図柄なら「奇数図柄」が「ラッキーナンバー」にあたり持ち玉遊技可能で、「偶数図柄」は「交換ナンバー」となっていた。そして、「7図柄」だけは、特別で「終日無制限」となっていた。
また、「Fパワフル」や「FクイーンⅡ」などのように「7と絵柄」しか無い機種は、台の盤面にサイドランプが付けられていて、その点灯した数字で「ラッキーナンバー」が決められていた。
このようなルールで台の上に札が刺されて、その形態に応じて遊技をする状況だった。
パチプロの立ち回り
終日稼働が可能なパチプロが、遊技をする際に最も欲しい札が、前述した「無制限」札であった。当時の釘状況だと、大抵の台が持ち玉なら優にボーダーを超えていたため、「無制限」札を獲得した際の期待値は今の比ではなかったのだ。
ただし、「無制限」の札が一旦刺さっても、持ち玉がなくなった場合は札を回収されてしまうところが多かった。迷惑なことに、気の早い店員はまだ箱に下1列くらい残っていても回収していたのだ。そこでプロ達は、飲まれそうになると、換金ギャップがあっても大事な札を守るために現金投資を行っていたのだ。非常に涙ぐましい努力である(笑)。
因みに、時間指定で無制限になるホールも存在したが、そのお話はまたの機会に…。
まとめ
虚心の先輩のプロには、店員とグルで週に数回、当たった際、近くにお客が居ないことを確認しつつ「無制限」札を刺してもらっていた。実はこちらは、ゴト師や他のプロ対策のための報酬だったりもした。こういったプロ達は、仲間内では「番犬」と言われていた。こちらのお話についても、そのうちこちらのコラムにて…。
当時はこういう営業形態だったので、玉を山積みにすることも少なく、多少、通路の狭い店でも問題はなかった。しかし、たまに無制限札の台が誤爆した際、ほとんどのホールが2400個以上入る箱を使用しており今のように積みやすい形状ではなかったため、いつ倒れるか!? と思うピサの斜塔のような積まれ方をしていた。そして、それを立ち見する大勢のお客の光景が、よく見られた。
※本稿に記載した内容は、ライター虚心坦懐の独自の見聞に基づくものです。
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