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チワッスあしのです!
パチスロ界に燦然と輝く名機たちの傍らでひっそりと咲く佳作を紹介するこちらのコラム。
今回はオリンピアの「ドリルギャング」について。
2002年なので、AT機流行期の最後のほうの機種ですな。
オリンピア/4号機/2002年
一作たりとも観たことがない
当時のAT機というのはほぼ毎ゲーム15枚役が成立してたわけで、通常時のベース(千円あたりの回転数)を下げるためには択の数を増やす必要があったんですね。
これやり方がいくつかあるのですが、打ち手の負担をなるべく減らして択数を増やすために「シングルボーナス」というのが使われてました。
これだったらシングルボーナス図柄とジャックゲーム中の払出し図柄、2連続で択当てに成功しないとちゃんとした払出しがないわけで、例えば押し順のみの6択でもベースを抑えることができたんですね。
その方式でいうと有名なのがのちに社会的不適合機と呼ばれるようになった「サラリーマン金太郎」とか「アラジンA」。
あとは「猪木」シリーズなんかもこれっすね。
んでもう一個のやり方は単純に択数を増やす、というもの。
例えば獣王は各リールの図柄の組み合わせで3と2と2で12択でしたが、この方式はAT黎明期に広くパクら…じゃない参考にされたんですけども、目押しが面倒臭えという弱点があり、この代わりに押し順と色の組み合わせる方法が一般的になってきます。
これはもう今のAT機とかでも良くあるんですけども、要は色2択+押し順6択とかね。
これでも12択まではいけますし、多くの台がこれを採用してました。
この辺はATの純増枚数と通常時のベース、さらにはAT突入率との兼ね合いもあるので何ともいえないんですけど、消化の簡単さと純増速度のバランスを考えるとこの辺がちょうど良かったと思います。
で、この辺のバランスって結局正解がないんで各メーカーとも色んなバージョンを持ち込みしては適合を受けたり落ちたりしてたんですけど、おそらくはそんな感じで複数通したものを、絞りきれずに両方出しました、みたいな機種があって、それがこの「ドリルギャング」なんですね。
これ、「ドリルギャング」と「ドリルギャングL」の2種類があって、通常版が押し順6択+色3択の合計18択なんですよ。
純増速度はサラリーマン金太郎とかとあんまり変わんないんですけども、やっぱシングルボーナスを使わずに高純増を再現しようと思うとどうしても18択とかになっちゃう。
一方で「ドリルギャングL」のほうはメイン小役を10枚にする代わりに色3択をなくした押し順のみのAT機。
消化は簡単ですが、ATがややサブ的な感じになりますね。
と、こんな感じで択数と枚数が変わっただけとはいえゲーム性はまるっきり違いました。
で、結局これ、両方だしてどっちが売れたのかって話なんですけど、圧倒的に無印のほうなんですよ。
ぶっちゃけLのほうを見たことある人は結構レアだと思いますし、オレも怪しい。
もしかしたら見たことないかもしれない。
メーカーとしては「当たりやすいのも重要あるんじゃないかな」みたいな感じで絞りきれなかったと思うんですけども、その配慮というのは結局あんまり意味がなかったわけで、そしてこれは多分、現在においてもそうなんですよ。
多分スペック違いの2機種をだしたら、爆裂性能が高い方しか売れない。
これはもう時代が変わっても結局同じ。
どうせ片一方しか売れないんだから、メーカーさんも1バージョンに決め打ちして出すわけですな。
と、オレはドリルギャングを思い出すたびに、そんなことを思います。