チワッスあしのです!
名機というのはちょっとアレだったけども、記憶にはガッツリ刻まれてる機種を紹介するこちらのコラム。
今回は2004年に俺たちの山佐がブチかました迷機『トゥエンティーセブン』についてつらつらと。
まあパチスロってのは遊技機規則によって「できる」「できない」というのがバッチリ決まっており、なんかすげえアイデアを思いついたとて全部が全部製品化可能というわけじゃありません。
とはいえ額面通りにルールを受け取ってそのまんま作ってたら世に出るパチスロは全部同じような機械になっちゃいますし、ブレイクスルーも何もない。
したがってメーカーの天才開発者さんたちは規則を無視するのではなく、いい感じに迂回したりくぐり抜けたりしつつ、世の中を「あッ」と言わせる機械の開発に、毎日血の滲むような努力をされておるわけです。
で、そういうチャレンジの中から時折エポックメイキング的な凄いヤツが登場し、以降のトレンドというのをグワっと塗り替えちゃうこともあり。
例えば山佐さんだったら「サイレントストック」の仕組みなんかはまさしくそれですし、あとは5号機時代の「リノシステム」なんかもそうかな。
そういう意味では山佐さんはかなりチャレンジ精神が旺盛な会社で、時折「マジかよ」みたいな機種を開発してはホールにブチ込んでおられます。
んで今回の『トゥエンティーセブン』なんかもまさしくそういうチャレンジ精神の発露というか、ファイティングスピリッツがバキバキに感じられる、他に見たことがねぇよこんなのと誰もがつぶやく珍機種であったのですが…。
27ラインにひれ伏せッ!
一言でいうと、これは3リール3図柄の全ての組み合わせが有効ラインなんだぜという、まるで酒の席で冗談でブチ上げた企画がそのまま形になりましたと言わんばかりのシステムを採用した機種であり、全部で27本もの有効ラインが生み出す独特の打感は、それ自体が本機の最大の特徴、かつ、大きなウリにもなっておりました。
なんでそんな事になったんだというと、これは当時のストック機の仕組みとボーナスの成立確率、そして有効ライン数の関係を述べないとあかんのですが、この辺はやや難しいのでサラッと「有効ラインを増やすとボーナス成立確率が高くできる」という前提だけおさえておきましょう。
んでこれが理論上の限界値である27ライン機である本機の場合なんと「約1/10」でありまして、店が意図的に飛ばそうが何しようがちょっと打てば十分な量のストックがモリモリ溜まっていくんだよ、という「ストック飛ばし恐るるに足らず」を地でゆくユーザーフレンドリーな気概を感じるものでした。
ただまあ、当時としても同じCタイプの『北斗の拳』なんかはREGの抽選を毎ゲーム1/32でおこなっており、そうそうストック切れの心配はありませんでしたし、ストック切れの心配がねぇから俺はトゥエンティーセブンを打つぜ! みたいな奇特な人も筆者はついぞ知らず、したがって有効ラインの多さが機械性能としての魅力に繋がってたかどうかは怪しい部分があります。
システム的には「ループ率タイプの連チャン機」であり、爆連モードとして当時の山佐の機種が頻繁に採用してたビッグバンモードみたいなのを搭載、上手いこと突入させることができれば平均27連、獲得期待枚数3000枚と十分な破壊力を秘めておりました。
んでこれ連チャンモードの示唆に「ボーナス時の揃いライン」が仕事をしてまして、7が中段に揃えばビッグバン濃厚の激アツ出目となります。そもそも左リール中段7が1リール確定目になってる関係上、左と中リールの中段に7がテンパった際はジャックポットの公算が一気に高まるよというのは、この機種を打つ上では随一のおもしろポイントなり。
…と、この辺は個別に見れば良さげに見えるんですけど、実際にパチスロとしてみた時、残念ながらこれは決して面白い台ではなかった。
例えば27ラインの代わりに失った物ものが非常にデカく、リール配列なんかは往年のAT機をも凌駕せんばかりの、ブランクだらけのスカスカなものでした。
また、どの位置に止まっても9ライン当選になっちゃうんで、左リールのみで完結するチェリーみたいな小役はそもそも搭載されておらず、小役の少なさも全体の単調さに拍車をかけてました。
アイデアも無邪気な感じでいいですし、筐体デザインもややレトロな感じで結構好きだったんですけど、なんせ出目を含めて何もかもが単調なのが致命的。
よく言えばシンプルだったので逆にそれが良いという方もおられるかもしれませんが、既に「北斗」も「吉宗」もあった時期にこの素朴な感じはどうにも厳しく、特に連チャン中の作業感はなかなかエグかった。
なんかもうワンアイデアあれば全然化けてた気がするんですが、システム的に何か入れるにしてもたぶん多すぎる有効ラインが足を引っ張る事になってたと思いますし、実際そういうのがあったんでこんなシンプルな形で世に出たんだろうなぁと。
そういう意味ではこの子は出自からしてかなり不遇な感じがします。
チャレンジ精神は満点なんですけどねマジで。
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(C)YAMASA
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