※過去の「栄光なき名機たち」記事
チワッス、あしのです!
パチスロ界に燦然と輝く名機の傍らでひっそりと咲く佳作を紹介するこちらの企画、今回はもはや佳作じゃなくて名作丸出しの機種である「リングにかけろ1」について。
稼働開始は2007年。まだ5号機黎明期の機種ながら、早くも出玉率119%を達成してたことで知られています。理屈上のスペックでいうと今のスマスロより上ッスね。
なんで当時のルールでこんな爆裂仕様が可能だったかというと、これがまた試験ルールの隙を突いた形になってたんたゼ…みたいなお決まりの解説になっちゃうんで割愛します。
詳しい事情はネット上に山程あるので、よく知らない人は別途調べてみてください。
とにかくこの「リンかけ」の時期は同じアイデアを利用した爆裂機というのがグッと隆盛の兆しを見せたんですが秒殺で禁止になっており、そういう意味ではこの機種は、その後の5号機にあったかもしれない未来の可能性を感じさせつつも、その線が立たれる原因にもなってるというちょっと複雑な機種なんですね。
銀座/5号機/2007年
システム的にどんな台だったのか
コイツは一言でいうと「ロング継続のRTを搭載したボーナス主体の機械」であり、ゲームの仕組みとしてはかなり単純でした。
んで単純であるがゆえに「ボーナス確率を見とけばだいたい設定が分かる」という大きな特性があり、さらに同じ理由で高設定には「ほぼ確実に吹く」という巨大なインセンティブが用意されていたんですね。
機械性能が高いくせに安定してる。これはこの機種を語る上でめちゃくちゃ大事なポイントでした。
さらにホールの状況も当時はちょっと特殊で、「リンかけ」がどんな機種だったのかを知るためにはそこの理解も必要です。
はい、実は当時はまだギリギリ一部の4号機が稼働中だったこともあって、5号機の人気がそこまで高まってなかったんですね。
むしろ「パチスロはもう終わりだ」みたいな声のほうが全然デカかった。
なのでホールとしても「5号機は面白いよ」「性能もしっかり高いよ」という啓蒙活動に力を入れてたフシがあり、そこで放出予算をぶち込むのにちょうど良かったのがまさしくこの機種だったんです。
性能が良くて、ホールも設定を使う。
はい、そこでだれかが思いました。
だったら、何人かで店にある全部の「リンかけ」をおさえて、高設定だなと分かる台だけ続行してあとはヤメればよくね?
うん天才の発想ですね。
そう、諸説あるとは思いますが、今で言う「軍団」が生まれるきっかけになったのは、オレはこの機種だと思っています。
もちろんモーニングの時代にも軍団はいたでしょうし、4号機時代にも複数人で小役落ちの判別をして炙る人々はいました。
が、ここでいう「軍団」は、そういうプロ的な動きをする人々ではなくて、ただ人数で勝負するパワータイプの人々を指します。
んでこれ、俺が思ってるだけではなく、やっぱ4号機から活躍してたプロの人に話を聞いても、いきなり新規のライバルが増えたのはこの辺の時期だったみたいな話はありますし、またホールコンサルタントの方からも「ホールはこの時期からちゃんと設定をいじるようになった」みたいなことはよく聞きます。
それまでどんだけ設定使ってなかったんだよという話なんですが、要はホールとしても「新台だけ入れてあとは設定1で放置」で稼げてた時代が長かったんで、細かく設定を調整するという文化があんま無かったんですね。
もちろんちゃんとしてる店はちゃんとしてたんでしょうけど、残念ながら「ちゃんとしてない店」の方が遥かに多かったし、また、やってる店でもそれは小役落ちの判別が効く台だけだったりしたんで、今で言う軍団みたいに「数で押す」という戦略はほぼ成り立たなかったわけです。
したがって逆説的には「この機種が軍団を生んだ」とも言えるんですな。
もちろんこれはオレから見た史観であって、いやいや違うぜという話も多分あると思いますけども、でもやっぱこの機種が「プロ」のあり方に与えた影響は、かなりデカいんじゃないかなぁと思います。
そういう意味では栄光なき名機ってことで、企画名には沿ってる機種です。
©車田正美/集英社・東映アニメーション・マーベラスエンターテイメント
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