
時代とともに変容する価値観
チワッスあしのです!
ホールで出会った奇抜な隣人を紹介するこちらのコラム、今回はペンネーム「きっちょむ」さんのお便りを紹介します。どうも~きっちょむさん!
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先日新台を打っていたら、隣に座った若い女の子が台の下皿にその台に出てくるキャラのぬいぐるみやステッカーを飾ってから打ち始めていました。
いわゆる「推し活」ってヤツなんですかね?
おじさんには理解できないけど、楽しそうでなによりでした。
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え、そんな奴までおりますか(困惑)。
なるほど、この連載を始めて長いですが、どうやら近頃は新世代の隣人が出没してるようですね。
ま~確かに「推し活」がだいぶメジャーな趣味になってるようですし、スロそのものというより、自分が推してるキャラが登場する版権の台なんかを打つ時は、アニメを観るときと一緒で推しグッズに囲まれて愉しみたい、みたいな感覚は分からなくもないですけども、公共の場でそれをやっちゃうというのは常識の違いというか、価値観の変容を感じちゃいますなァ。
そもそも「推し活」の原型のようなものってオレが学生の頃(90年代)から一応あるにはあったんですけど、それはとりもなおさず「ジャニオタ」の活動だったんですね。ウチワをゴリゴリにデコってライブに行って応援とか、基本的な活動は今でも変わって無いハズ。
まあモトを正せば中3トリオとかおニャン子クラブとかまで行くんでしょうけど、あれはどっちかというと「応援団」のノリに近いでしょうし「推し活」とはちょっと違う気がする。
やっぱオレの認識では「推し活」的な思考はジャニーズ発祥で、多分「光GENJI」から「SMAP」までの間に形になったんじゃないかなと思います。

なお、アニメとかマンガのキャラを「推す」のももちろんありましたけど、そこはまだ誰々が好きだから突き詰めて知っていく、とか研究していく、みたいな感じで「推し」というより「求道」のようなスタイルだったような気がします。
たとえば当時、ゲーセンで知り合った10歳くらい年上の店員さんがいて、その人が「ミンキーモモ」に異様に詳しかったんですけども、本人がそれを率先して周りに吹聴したりせず。ただミンキーモモをより高画質で楽しむためだけにLDの再生環境を整えたり、同じディスクを3枚くらい買っちゃったりとか、家にお邪魔したときに始めて「こいつ…」って思う系のアレでした。
これだって立派な推し活なんでしょうけども、そういう意味では当時の推し活ってのはよりプリミティブでフェティッシュなものだったんじゃないでしょうか。なんとも慎ましやかでいいじゃないですか。
ただし、それとは別で今と当時であんまり変わってないのは恐らく同人誌界隈だと思います。しかも女性が描く方。
たとえば当時は「ワンピース」が始まったばっかりの時代で、単行本もまだ5巻くらいしか出てなかったんですけど、その頃からすでに登場したばっかのサンジはオタクのお姉さんたちに大人気でありまして、早くも「サンゾロ」「ゾロサン」論争というのがありました(※こういうカップリングものの場合、先にくるほうが攻めで後ろが受けという命名ルールがあります)。
なんでそんなこと知ってるかと言うと17歳か18歳のころ、知り合いのツテで同人誌の売り子のバイトをしたことがあるから。
バイトし終わったあと、何名かの同人作家の人とアフターみたいな感じでメシ行ったんですけど、そこで彼女たちはサンゾロなのかゾロサンなのかを公共の場で激論してまして、攻め受けの命名ルールも知らなければそもそもワンピースすら読んだことがなかったオレは周りが一体何を話しているのか全く分からず。
ただ菩薩のように微笑んでは「そこまで全力で好きになれるものがあるってのは素直に羨ましいなぁ、早く帰りたいなぁ」と、疎外感に苛まれたもんであります。
そういう同人界隈の濃いオタク原液みたいなのが普通の人には強力すぎて無理なんで、カルピス方式で薄めて飲みやすくし、その分めっちゃ広がってるのが今の「推し活」と言っても多分差し支えはないハズ。
そしてキャラグッズ持ってパチスロを打つという話に戻りますが、これは薄まってるのか濃いままなのかどっちなのかってのが今回の話の芯なんですよ。
はい、この分水嶺になってるのは「自分で楽しむか」「ファッション化してるか」なんじゃないでしょうかね。別にオレはオタク学を学んだわけじゃないですが、ファッション化というのはだいぶ重要な要素だと思います。
要は「わたしは変わった人でーす」っていうのを周りにアピールするための「識別タグ」として「推し活」を利用する人というのは多分いて、オレには「キャラグッズを下皿に置いてパチスロを打つ」というのはソレにしか見えないんですね。
スマホのカバーがキャラプリとか、そういうさりげない感じだとかわいいんですけど、ぬいぐるみドン! シールドン! だと「作品」よりも「それを好きな自分」のアピールになっちゃってて、推しになってない気がするんですよね。
まあ本人が楽しけりゃそれでいいんですけども、やっぱ隣で打つと気になっちゃいますよねぇ…?
推し活自体は多分すごく楽しいことですし人生を豊かにしますけど、推すなら正しく、周りの迷惑にならずに推しましょうね!
と、本日はここまで。ご清聴ありがとうございました。また来週!
皆様の体験談を大募集!
隣に座ったヘンな客…アナタの体験談を教えてください!
ライター・あしの氏が当コラムにて紹介させて頂く…かもしれません。
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